プロセス化学 医薬品合成から製造まで



プロセス化学 医薬品合成から製造まで
プロセス化学 医薬品合成から製造まで

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プロセス化学

いわゆる「試薬の合成」を工業化する場合、当然、最終的には大規模なスケールアップが必要になります。

しかし、いざスケールアップを試みようとすると、"ラボスケール"で実施される有機合成と"工業スケール"で実施されるものとでは、何を為すにも反応挙動の違いが生じることに気づかされます (1gを加熱するのと200kgを加熱するのとでは、かかる時間も労力も、全く異なります)。
また、実働人数もラボと違い、一人ではちょっと無理です。納期を考えても、原料費を考えても、人件費を考えても――、これには、まったく大変な入念さがいるのです。

こうしたスケールアップの段階で、不適切になる試薬もあります。試薬・溶媒に含まれている安定剤・不純物。また、反応中の静電気の帯電・界面の発泡などが、無視できない影響を与えてしまうことも起こりえます。
このように、有機合成はスケールアップを顧慮すれば、合成ルートの"エレガントさ"ではなく、"いかに安定して生成物を安価・高品質で無駄なく供給できるか"で評価されることになります(さらに環境に優しいか?とかもあります)。

本書には、プロセス検討を行う上で予期される、様々な困難と対処法が述べられており、ふだん見ることのない、大量合成を行う現場の姿が、行間から漂ってきます。
濾過は?乾燥は?濃縮は?触媒除去は?カラム精製は?結晶化は?特許侵害は?
そういった、外からは見えない状況が、この本の中で垣間見えるかもしれません。

B5版ながら350ページ超と、コンパクトサイズで分厚い、手ごろなサイズの本。文も変に読みにくかったりせず、自然に読めるものだと思いました。
解説のために多くの合成例が載っており、いちいちわかりやすいです。様々な溶媒特性についても解説・表つきで示されています。

問題は値段でしょうか。
この本が高すぎるという場合、日本プロセス化学会編「医薬品のプロセス化学」が廉価でオススメです。図表は比較的少ないですが、こちらもいろいろな実例が掲載されていて、非常に面白いです。



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